最近Xで目にした「石丸構文」というもの。
先に申し上げておきますと, この話題は胸やけを引き起こしやすい劇薬です。石丸構文というものに心当たりがない/知らないという人は記事を読まない方が幸せです。不幸になりたくない人はUターンしましょう。怖いもの見たさならどうぞ。
元ネタはこちら。
本記事は石丸伸二氏や日テレおよび石丸構文を作ったこの方はじめ, いずれの方の思想や人格についても評するものではありません。それをするには私の教養はいささか不足していると思っています。
ただ単純に「石丸構文」と元ネタの会見について, どのような会話構造になっているのかを思考してまとめることにします。石丸構文がどこまで流行るかは知りませんけどね。でもたまーに使われたときにその実態はという方がこの記事を訪れることを期待しちゃっています。てへ。
この記事がもたらすもの
- 石丸構文の元ネタと思われる動画にたどり着けます
- 筆者の文字起こしのリンクがあるのでそれを読めます
- 元ネタの会見の対話構造を理解できます
- 石丸構文と元ネタを比較して, その意図を考察できます
石丸構文が参照している会見
そもそもどういう会見だったの?
私が参照したのは以下の動画です。日本テレビ報道局が運営する公式チャンネルが2024/7/7に公開したものです。
以下の記事に文字を起こしました。
以降【48】などと書かれていたときは「この書き起こし記事の48番目の発言を参照している」とみなしてください。
多少違っていても許してくださいね。
「安易にネット上の情報を信用せずに, 自分で見るのが一番」という意見もあります。しかし, そんな手間をかけるのは一部の人間だけでいいという意見はごもっともです。この文字起こしは1/4倍速で聞きながら行ったので1時間程度かかっているでしょう。あなたの時間は有限で貴重なのです。信用できる, と思ったらほどほどに信用してうまく利用してやってください。
石丸構文になったのはどこ?
書き起こしの記事で【48】以降の会話の流れを指していると思われます。
冒頭に参照したポストでは, 会見をものすごく大きく改変してあの形になっているようなので正確な照合は不可能でしょう。
というのは, 多分正確さよりも面白さを重視しすぎてしまっているのです。
石丸構文が主張する内容
ではこの意味不明な石丸構文をわざわざ作ってポストし, それが一定の反響を呼んでいるのはなぜでしょう。
私が分析するに, 石丸構文(の本文)自体は以下のような主張をしているようです。
- 石丸氏に対して敵対している
- 古市氏の質問に対する石丸氏の受け答えに不満を持っていて皮肉を言いたい
ただ, ふかわりょう氏の発言に便乗して「面白く皮肉を言いたい」だけのためか, この構文の内容が誤情報を多分に含んでしまっている気がします。石丸構文と元ネタの会見の対話構造が根本的に別物になってしまっているのです。
それでもこのポストは一定の反響を呼びました。それはおそらく以下の思想を持つ人がいるからだと思います。
- 質問に対して答えるのではなく, 質問内容の不備を指摘することがよくないと考える
- 上記の言動から「質問の回答から逃げている」という印象を受け取った
石丸構文と現実との乖離
なぜ会話がかみ合わないのか
石丸構文と元ネタの会見。いずれにしても「会話がかみ合っていない」ということだけは確かで共通しています。なぜそんなことが起きているのでしょうか。
石丸構文の方はただただ「相手の話を聞いていない」ことに由来します。
BLTサンドのパンの種類を選択する発言が存在しませんし, おそらくこのお店ではパンの種類を選択しないと作れないのでしょう。店員はそれについて何度も確認を行いますが, 客はなぜか答えません。意図的かどうかは言及されていませんが, もどかしさを感じさせるようになっていると思います。
一方で元ネタの会見。こちらは「質問の不備を先に解決しようとした」ことに由来します。
古市氏が聞きたいことは多分【49】以降変わっていないので, 石丸氏の主張の流れを追います。
- 【49】で政治屋と石丸氏の違いを問われたが, その問いに対する答えは「石丸氏が何に対して批判しており, どうならないように気を付けているか」という内容になるはずであり, 当然そのまま「政治屋の定義」に帰結するはずである。しかし【29】で政治屋の定義は述べたし【31】で石丸氏自身は当然違うということを主張したはず。
- それでも会話がかみ合わないので【60】で相違点かと助け船を出した。多分古市氏がここでYesと答えたら「それは政治屋の定義に帰結するはず」ということを説明したと思われる。
石丸氏の対応は優しさには欠いていましたが, 間違いなく厳格でありました。すべて分かったうえで間違いのない受け答えをしています。
では古市氏はどのように質問すればよかったのか。単純です。「政治屋の定義に当てはまると思う石丸氏の活動を指摘して, それに対する説明を求める」ことをすべきだったのです。もっと言えば【48】の「一貫性」に対する問いを無視するべきではなかったのです。その説明こそが上記の指摘に直結するはずです。
ちなみに石丸氏が【48】で「一貫性」を問うた意図はよく分かります。【47】における古市氏の言葉が非常にまずいのです。端的に言えば古市氏は, 政治家になることそのものを政治屋になることと同一視してしまっています。つまり「政治家=政治屋=悪」の構造を勝手に作ってしまっているのです。
これはいけません。政治家になってくれる人がいない, 立候補してくれる人がいないと間接民主主義は成立しないのです。ただでさえ「いい候補者がいない」と嘆く声をよく聞きます。それを加速させます。非常にまずいです。
厳しすぎるという意見もあるかもしれませんが, 報道関係者は事実関係の指摘や言葉選びを誰よりも気にしなければならないのです。それが彼らの仕事にほかなりませんし, そこをおろそかにされると国民が何を信じていいかわからなくなります。普段から政治家の失言を取り扱ってもいますし, 加えて政治家以上の影響力を持ってしまっているからには政治家からリアルタイムで指摘されるようなことではいけないと私は考えます。
あなたはいかが思いますか?
比較してみよう
先ほどは構造について説明することで違いを示しました。それでも複雑な内容なので, 難しいと感じる人はいるかもしれませんね。ごめんなさい。
では, 石丸構文が「注文=定義」という対応関係を意図的に作り出しているということを理解したうえで, 一文だけ明確に照合できる発言を取り出しましょう。
石丸構文「え?だからだからパンの種類じゃなくて、注文を聞いてるってことでよろしいですか?」
元ネタの会見「【60】違う, 言葉の定義じゃなくて相違点を聞いています?」
はい, 質問内容の確認を取る発言を並べました。ここで注目したいのは「(注文/定義)が(じゃなくて)の前後どちらに置かれているか」です。
お分かりいただけましたね。
わざと乖離させた?
上記で主張するように, 石丸構文と実際の会見は全く別物です。
素直に受け取れば「ポスト主は実は会見の対話構造を理解しておらず語感だけで作成した」という残念な推測に行きつくのですが……ひとつ大胆な仮説を立てていいですか?
ポスト主は「明らかに現実と乖離した文構造にすることで“この石丸構文にくっついて石丸氏批判をする人々”に対して強烈な皮肉を突き付けている」という大逆転の構造です。いかがでしょう。もしそうなら本当に大したものだと思いませんか。そして現実的にそう考える余地もあります。
つまるところ「肝心な場所が変わっていてもあなたたちは気が付かないし気にしないのでしょう? ただ自分が気に食わない石丸氏を批判したいだけでしょう?」という主張が通ってしまったように考察できるのです。
まとめ
さて, 私の考察はいったんここまでとします。
明らかに間接民主主義に反することに関しては私の政治的な意見を入れました。あと, 私も言葉の使い方には大変慎重になる人間なので, 質問内容に対する批判を少し入れました。
それ以外についてはここでは触れません。石丸氏が本当に政治屋ではない政治家を体現できているかも私にはわかりません。
こういう釣りに踊らされるのは悔しいと思いませんか。
最初石丸構文やそれに対するコメントを見た時に私は幾分かもやもやした気分になりました。誰かが叩かれている。でもその理由や経緯がまだわからない。もやもやした気分のままでいるのは私の精神衛生上よくないのです。
でもこの記事を書いたことでとてもすっきりしました。やっぱり論理は私の味方をしてくれます。
そして劇薬ですが楽しかったですよ。これがなければこんなに刺激的な考察にはたどり着けなかったでしょう。ありがとう, 石丸構文。
私の意見を聞いて賛同してくれる, もしくは瑕疵を指摘してくれる方がいれば喜んでお聞きします。いや, 自分の論理の至らなさを知ると落ち込むのですけどね。頑張ります。

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