良いレビュー記事を書きたくて

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個人サイトで発信するものの中でメジャーなものに「レビュー」が存在します。
個人でなく, 法人が運営するニュースメディアからもレビュー記事は頻繁に流れてくるわけで, 私も時々読んでいますが……どうにも感じるのです。皆さんも思ったことはありませんか?

質が悪い

極端な例を載せますね。

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

これ本当に呆れました。私も8番出口は見る専なので, プレイしたことがないのは彼女と同じなのですが, それでも呆れています。三文記事というレベルではありません。こんなにひどいレビューを会社の名を使って発信させちゃってITメディアさん大丈夫?

何となくおかしいと思うこの気持ち。言語化して見せましょう。それが私の進む道。

この記事がもたらすもの

  • 良いレビューとは何かということを考察できます
  • このサイトのレビューの作成方針を知り, どの程度信頼するのかを判断いただけます

言葉の定義

辞書を参照してみる

レビュー(review)

 再調査。再検討。
 批評記事。文芸・芸能などに関する評論。論評。また、評論雑誌。「ブックレビュー」
[補説]雑誌名別項。→レビュー
[類語]コメント寸評

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC-9973

ここでは2の意味で使用することとします。

寸評。いい言葉ですね。私にはレビューなんておしゃれな言葉よりも寸評の方が合っているかもしれません。ありがとうデジタル大辞泉。ありがとうコトバンク。
というのは「寸」という漢字に謙遜の意味を感じ取ったからなのですけど, 実際にはそんな意味はないのですかね? むしろ私は長文を書きがちなので短いという意味の「寸」はあっていないのかもしれません。やはりレビューと呼んでおきましょうか。

そのほか, 先ほどのデジタル大辞泉さんの説明の中に批評という言葉が出てきましたが, 私自身に「批評」という言葉をかなりネガティブにとらえている節があります。同じ人はいませんか? 「批評家」と聞いただけで胡散臭いなと思ってしまう人。

そういう批評家のイメージってきっと, その方々が発信する批評に対する印象が重なってのものだと思うのです。メディアを開けば無数の批評が目に入ってくる昨今, それらを上手にあしらい, おいしくいただくために一緒にレビューについて勉強しようではありませんか。

舞台芸能用語としての用法もあるらしい

コトバンクさんのページに載っていました。批評記事としてのレビューと語源は同じっぽいです。

※ 素人の解釈なので話半分に! ※

歌劇の1種ですが, 舞台芸能界では作品形態のミックスが進んだ結果もはやミュージカルなどと区別ができていない状態っぽいです。ジャンルとしての性格を無視して「レビュー」という題を冠する歌劇もあるそうな。昔のフランス人が宝塚歌劇団の“レビュー”を見たらこんなのレビューじゃないって言い始める感じ。

レビュー(revue)の源流は年末のコメディですね。「今年はこんなことがありました!」というのを風刺も交えつつ歌や踊りに乗せて面白おかしくまとめ上げてみんなで1年最後の笑いを共有する感じ。素敵ですねこのレビューも。私のレビューでも皮肉を言いつつもニコニコしてもらえるように作っていきたいです。

良いレビューとは

誰がためのレビュー

今回は哲学です。記事に私の主観が影響するのはある程度みなさんに許していただくほかないのですが, それでも読者であるあなたと一緒にこのテーマについて勉強したいと考えていますので, なるべく理論的なお話をします。大丈夫, 私は人文社会学の素人ですが論理に関してはプロなのです。たいそうな自信だな!?

さて, 良いレビューは何かと考える前に「誰の視点が重要か」を考えます。レビューにかかわる人は主に次の3者。

  • レビューの対象となる人
  • レビューする人
  • レビューを見る人

ここでは「レビューを見る人」の視点を重視します。
なぜなら導入で語った違和感は「読者としてみた時の違和感, 不信感」だからです。もちろん, レビューをビジネス的に見るためには上二つの視点も重要になってくるでしょうが, この記事では割愛します。

どんなレビューが読みたい?

私たちがレビューを読む理由を考えましょう。
例えばスゥさんが新しい家具を買ってレビューしたとして, ルピカさんがそれを見に行くとしましょう。その時のルピカさんの気持ちを考えます。

  1. 「自分もその家具を購入するか」を考える判断材料にする
  2. 自分もその家具を持っているから, 同じ家具を使っている人の意見が気になる
  3. 知的好奇心を刺激したい, 痛快な文章を読みたい
  4. スゥさんとは友達だから, 読んでおいて今度話題に出そう

これくらいでしょうか。上のような思惑が満たせればルピカさんはレビューに満足していくでしょう。ほかにあったら教えてくださいな。

4.は筆者と読者の関係性に依存しますので, レビューそのものの質とはあまり関係ありませんね。
ですからそれ以外について考えていきましょう。

判断材料たりえるレビューとは

レビューは読者の判断材料になる。これはレビューがレビューたる所以で, 普通はこの目的を想定してレビューを作るのだと考えています。

説明いたしましょう。例えばレビュー記事のタイトルあたりに「おすすめ」「後悔した理由」などと書かれていれば少なくともその筆者はこの観点で記事を宣伝しているわけです。
そして, そのようなうたい文句はネット上に無限に存在します。わざわざ検索をかけるまでもなく調べ物をすれば「おすすめ」などというワードはあふれ出てきます。レビューにおいていかに「判断材料になるかどうか」が重視されているかが分かるでしょう。

さて, 判断材料としてもらうために必要なことは何でしょう。スゥさんの家具レビューを例にこれもいくつか考えました。

  1. スゥさんはその家具をいいと思うか悪いと思うか書いてあること
  2. その家具の特徴が説明してあること
  3. 読者のパーソナリティを仮定して, その家具の使用感を予測すること
  4. 商品ページなどの参考資料や別の家具との比較があること

難しい話になってきましたね。しかし着目するのはただ一か所3.だけです。
なぜか。1.2.4.はレビュー記事など見なくても入手しやすいからです。

しかしそれだけでは不十分です。なぜなら読者のための情報の取捨選択がされていないからです。ルピカさんにとって大切なのはその家具が売れているかではなく, ルピカさんがその家具を買うべきかなのです。さもなくばレビューなんて調べず流行に乗っていきます。
スゥさんはいいと思った。しかし, スゥさんとルピカさんの家具の趣味が同じでなければその評価は参考にならない。家具の特徴が説明してあった。しかし仕様が全部書かれていようが「本当にルピカさんにとって大切な部分はどこか」が分からないなら目を回してしまう

そこでスゥさんが自分の家具の趣味を打ち明けて, 彼女の部屋をコーディネートする中でそのテーブルがどのような見え方をしているのかを写真に撮ったとしたら? スゥさんの評価に大きな価値が生まれます。
重要なのはここです。スゥさんが自分の家具の趣味を打ち明けていることです。それはその家具がいいものであるという根拠になるとともに, その根拠が読者にとっても有効なものかを判断する材料になっているのです。万人を満足させるテーブルなんてありませんし, そんなことはルピカさんも知っているのです。だからこそレビューには価値観のすり合わせが必要になります。

そこをさらに一歩踏み込むと「読者のパーソナリティを仮定して, その家具の使用感を予測すること」になります。つまりスゥさんは自分の趣味だけでなく「今回は小物を並べてインテリアにしたけど, 食卓として使うのも悪くないかもしれない」とか「私はめったに動かさないから気にしないけど, 重さには気を付けたほうがいいかも」とかいうようなことを書かれていたら株価倍増です。

知ってよかったほかの人の意見

スゥさんがレビューした家具をシノさんはすでに持っているとしましょう。そんなシノさんでもレビューを覗くことはあります。彼女が考えていることは

  • 自分と同じ感想を持っている人を見つけて安心したい
  • 自分の知らない家具の使い方を探している
  • もしかしたらいい関連商品が見つかるかもしれない

のいずれかだと思います。ほかにあったら教えて!
つまり共感情報のどちらかを求めているわけです。

情報は先ほど語った「判断材料たりえるか」に準じます。持っていない人よりもその家具の知識は深いはずなので, なおさら「特徴を述べるだけでは不足」というわけです。そのテーブルのスペックなんてすでに知っていますよと。

さて共感ですが, シノさんがいいと思ったものをスゥさんもいいと言ってくれるだけで満足かというとそれではまだ不足です。やはり先ほど言った通りただの評価は入手しやすいからです。テーブルのレビューサイトには★5もたくさんつけられていますが★1をつける不届きものもいるようで, そういうネガティブな情報はシノさんが嫌だと思っていても目に飛び込んできます。
そんな中, 自分のこのときめきは正しかったんだと確信するためにはやはり根拠が欲しくなります。そのためにわざわざレビューという文章を読みに行っているのです。

さらに言えば, シノさんにとって「自分はこのテーブルを気に入っている」という事実がもう確定しているので, 安心するために追加でほしい言葉は「普通に考えてこのテーブルは素晴らしい家具だ」というものです。普遍的な価値を認めてほしいわけですね。
そういったときに重要なのがやはりパーソナリティを仮定することです。そしてそのパーソナリティにいかに共感できるかがシノさんの満足度に直結します。「そうだよね, そういう人もいるよね。やっぱりこのテーブルは評価されるべき!」なんてモニターの前でガッツポーズをとるわけです。

ちなみに, テーブルを買ったはいいものの重くて動かせず毎日の掃除が大変で大変で仕方ないエルノアさん。商品ページに★1を投下しつつ半ば怒りに任せてレビューを開いた彼女ですが, パーソナリティの仮定はそんなエルノアさんに対しても優しい記事にしてくれます。
なぜなら, エルノアさんの不満を頭ごなしに否定するのではなく「こういう使い方をする人にとってはいい家具です」と線引きしてくれているからです。立場の違いを明確にすることでエルノアさんの感じ方がおかしいという結論を回避できます。

面白いレビューとそうでないレビュー

ここまでは家具に注目してレビューを見てきましたが, レビューというのはスゥさんの活動報告としてもとらえることができます。こういう家具を買ったからレビューするよ, という体で始める日記ですね。
活動報告としてみた時のレビューですが, おそらく普通の日記よりも刺激的な内容が多くなるのではないかなと思います。「悩んでいます」とか「気になります」とかやんわりしたお話で終わらせなくてもいい話題なのですよね。たいていレビューってその人の中で結論が出てからの発信です。

刺激的なお話はうまくいけば読者を楽しませるポテンシャルがあります。面白いお話とは派手な結論を導くものです。あたり前で無難な結論は面白くありません。

ところが, 世の中のレビューというのはどうにも消費者の立場を笠に着たり, 権力者に対する対立の構図を意図的に作ったりして理不尽な物言いをしているものが多すぎると感じるのです。ほかの仕様との兼ね合いや値段とのトレードオフということは考えもせずにただ不満を書きなぐっています。
言うだけならタダ。それはそうでしょう。しかしそんな無難な立ち回りでは面白くも何ともありません。派手な看板を掲げるからには派手なことをしましょうよ。刺激的なだけで面白くないものはただただ不快です。騒音と一緒です。

だから刺激的なお話こそ丁寧にしなければいけないと思うのです。
少なくとも熱意想像力があれば私は擁護できます。熱意というのは誰でも持てるものではありません。想像力があれば自分の熱意をみんなに知らしめることができます。テーブルを買って, 部屋をコーディネートしてみて, その写真をアップしつつ, 購入を検討しているであろう見知らぬ人のために注意事項を考える。そんな面倒くさいことをできる人は決して多くありません。だから面白いのです。

彼我のレビューに当てはめてみる

冒頭のレビューがおかしいわけ

ところでみなさん, 冒頭の8番出口のレビューを読みに行きましたか? 読まなくてもいいです! といいつつまたリンク張っちゃうのですけど。

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

私的にクソレビューオブザイヤーです。年に1件あるかどうかの大物レビューです。

まずは8番出口switch版を購入するべきかどうかの判断基準ですが, もちろん使いようがありません。だってこの人8番出口をプレイしていないのですから。
正確には5分プレイしていますが, そのプレイによって有益な情報が全くありません。せめて「8番出口の地下通路がなぜ彼女の恐怖をあおったのか」ということを怖がりな彼女の感性を持って分析してくれれば……例えば通路に貼られているポスター, 向こうから歩いてくるおじさん, 自分とおじさんの足音だけが鳴り響く狭い空間, いつたどり着くかわからない出口を目指すというプロセス。
語れることは山ほどあろうにそれもせずただ彼女の内面のみを記述しています。8番出口に向き合うことを拒絶し自分の殻に引きこもり, 愚痴をつぶやいているだけです。購入の参考にしようとしてきた人はブチ切れるでしょう。「あなたになんか興味ありませんよ!」

すでに8番出口を持っている人の役にも立ちません。
お分かりかと思いますが8番出口に対して好意的に思っている読者層は論外です。ただ一言ふざけるなとコメントを残して去るでしょう。
8番出口に対して否定的な人が見に来たとしても彼女の恐怖に共感できない人は「時間を無駄にした」と後悔しながらブラウザバックするでしょう。その時点でレビューとしては壊滅的なのですが, 仮に彼女と同じく8番出口がとっても怖いと思った人が見に来れば安心させてあげられるという可能性はあります。ここまでのマイナスが1万くらいたまっているのに対して数十くらいのプラスでしょうが。
しかしそのプラスさえも認められません。理由はこのレビューのタイトルをご覧ください。「待望の」と書いてあるでしょう? 8番出口をやってみたはいいものの怖くて怖くて夜も眠れないという被害を訴える人は「待望の」なんて書いてある記事を開かないのです。しかも「switch版」ってプラットフォームまで書いてあるでしょう? 普通に読解したらswitch版は残念だったけど「原作8番出口は面白い」という文章になるじゃないですか。あの薄暗い地下通路なんてまっぴらごめんという人がスタッフルームから覗いてくる怪しい女の話が出てきかねない場所になんて来るわけがないじゃないですか。

レビューとしての実用性はあきらめましょう! ではこのレビューは面白いですか!

面白くありません!

だって結論が「今後、晴れて天気のいい休日の朝にでも、明るい曲をガンガンに聞きながらプレイしようかな……できるかな……。」ですよ!? 何が言いたいのですか!?
長い長い前振りの末, 結局なにも結論付けていないのです。ひたすら虚無感が襲ってきます。
無駄遣いをしたという問題意識はありますのでそれについて分析して自分と冷静に向き合って今回のことの原因と解決策をゆっくり独白すれば多少価値のある文章にはなるでしょうが, もはやそれってレビューじゃないという問題点は残されています。でもタイトル詐欺だったとしてもその方がましです。
まあ, この人の文章から熱意も想像力も感じませんので叶うはずのない可能性なのですけどね。ただ怖かったーもったいないからやりたいんだけどなーっていうのは誰にだってできるのです。

ああ, ここまで全否定できるレビューというのはある意味で「面白い」のかもしれませんね。私は全力で「面白がって」やりました。ざまーみろ!

このサイトでどんなレビューを書くか

読者にとって面白いレビューとは何かは語りました。しかし, どんなレビューにするかは人それぞれ。得意不得意もあるのです。私は以下のような方針でレビューを作成します。

  1. 読む人の視点を最優先
  2. 内容の優先度は 面白い > 判断材料になる > 共感できる
  3. 肯定的なレビューをするときは少しだけ実用性に寄せようとする
  4. 否定的なレビューをするときは面白さマシマシで

こんなところでしょうか。自分のパーソナリティを少しだけ打ち明けながら方針の理由説明をば。

まず1.ですが, 現状このサイトは企業などとのつながりがありません。広告張っていないでしょう? ですからそちらに忖度することはありません。
案件を受けることになるかも? まさかー! って今は思っていますが, 万が一そうなったらそうと明記させていただきましょう。その場合, 私はレビュー対象の選定に関してのみご要望を受け, レビュー内容は読者重視にします。

2.に関して。これは私の得手不得手が関係しています。
面白い文章を書くことが得意, というわけではありませんが, 少なくとも文章に熱意と想像力を込めることは平均以上にできると思っています。あと, 私自身が面白い文章を読むのが好きなので, 自分が書く文章も面白いものでありたいという願望込みです。
判断材料になる, というのは中間です。私には人文社会系の基礎教養がないという弱点があります。調査の時間も多く取れないかと思います。しかし私は論理に関しては自信があります。手の届く範囲で拾った情報を客観的に分析して, みなさまの参考にしやすい形に加工して見せましょう
共感できる文章を書くのは苦手です。感情に訴えることができる人ってすごいなと思います。ほら, 今書いているこの文章だって理屈っぽくって面倒くさいじゃないですか。直感でガツンと断言することができないのですよね。臆病なのです。

3.は「好きなものを批判されても怒らないでね!」ということです。できる限り合理的な評価と言葉選びを心がけるから許してー

4.はまあ, 先ほどやったレビューのレビューみたいなやつのことです。ネガティブな情報を取り入れるとネガティブな気分になりやすいです。でも, 基本的にこのサイトはポジティブ明るく元気にというイメージで行きたいので, ネガティブな情報を笑い飛ばそうとします。
ですから, レビュー対象に深刻に傷つけられていて切に味方になってくれる人が欲しい人は他の人に助けを求めてくださいね。私は笑い飛ばしてしまいますので。

まとめ

普段レビューを書いていらっしゃる方のプレッシャーになってしまったら申し訳ありません。あまり気にしすぎなくてもいいですよ。あ, よろしければお友達になってくれませんか?

辞書を引いたところで舞台芸能としてのレビュー(revue)の話題が上がりましたが, 私がこの記事を書いていて一番良かったと思った部分です。レビューはエンターテイメントなのです。歌や踊りはさすがに無理ですが, ユーモアやウィットで面白おかしく読み進めていただけるようにしたいなと思います。今後ともよろしくお願いします。

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